
初めまして。心理セラピストの奥富浩司です。
いま、あなたがこのページを開いてくださっているのなら、きっと何かしら「人の心に寄り添う仕事」をされている方なのではないかと思います。そして同時に、どこかで“自分の心のケア”の必要性を感じているのではないでしょうか。
いきなりですが── 私は、心のケアのプロでありながら、自分の心を壊した人間です。
今でこそ、多くの対人支援職の方々に向けてセルフケアをお伝えしていますが、かつての私は「ちゃんと支援しなければ」と自分に鞭を打ち、限界を超えて働き続けていました。
今思えば、自分の正直な気持ちも大切な家族も無視する振る舞いの連続でした。
瞑想講師として活動していた当時、
「自分が弱っているなんて思われてはいけない」
「人の心に寄り添う自分は、いつも穏やかでなければならない」
「人のために自分を犠牲にすることは当然」
そんな“理想の支援者像”を、自分に課していたのです。
でも、ある朝、ふと目が覚めたとき──
何も感じず、布団から動けなくなっている自分がいました。
まるで、心が真っ白になったかのようでした。
これが、私が体験した燃え尽き症候群の始まりでした。
この時をきっかけに私は気づくことになります。
「支援者であっても、自分の心を放っておいていいわけではない」
「人を支える人にこそ、自分自身を支える術が必要なのだ」と。
この原体験から、私はセルフケアの必要性を強く意識し始めました。
それはただ知識を得ることではなく、“体験として自分を癒す”方法でした。
■ 瞑想との出会いと、燃え尽きのはじまり
私は30歳の頃、人生の進路に思い悩む中で瞑想と出会いました。
当時さまざまなストレスを抱えていた私は瞑想の可能性に望みをかけ、全力で瞑想に取り組みました。瞑想を通して不要な心から解放されるたびに心身は健康を取り戻し、頭の中のモヤが晴れて物事は明晰に見えるようになり、人の心について、人生についてたくさんの気づきを得ることができました。やがて私は瞑想センターでガイドとして活動するようになりました。
「この気づきと癒しの力を、一人でも多くの人に伝えたい」
「瞑想を通じてたくさんの人に元気になってもらいたい」
その一心でした。
しかし現実は、思い描いていた理想とは大きく違いました。
「自分が瞑想に取り組むこと」と「人に瞑想を指導すること」は全くの別物で、思い描いていた理想のサポートをするどころか、コミュニケーションに悩み、ガイドとしての自信も持てず、会員さんとの信頼関係もうまく築けない。
内気な私はマニュアル的な対応に頼るしかなく、人と正面から素直に向き合うことができませんでした。
次第にスタッフとも衝突が増え、気がつくと周囲から人がいなくなっていきました。
心の奥底ではそんな状況に心が悲鳴を上げているのに、私は「自分は瞑想の専門家なんだからこんなことで弱音を吐くわけにはいかない」と、自分自身を必死に抑え込みました。
誰かに相談しようにも自分のプライドがそれを許しませんでした。
センター責任者としてのプレッシャー、理想と現実とのギャップ、誰にも言えない不安や葛藤。
それらが積み重なったある日、私の心はぽっきりと折れてしまったのです。
■ 光の見えない、長いトンネル
いわゆる「燃え尽き症候群」でした。
身体は動くのに、心がまったくついてこない。仕事への意欲は消え失せ、何をしても喜びを感じられない。人と接するのがとてつもなくしんどい。
「心のケアをするはずの自分が、なぜこんなにも疲れ果て、疲弊してしまうのだろう?」
そんな思いを抱えながら、長いトンネルの中を光も見えないまま一人で歩き続けるような日々が数年間続きました。
それでも私はなんとか答えを見つけようと、再び瞑想に向き合い心理学やスピリチュアルな教えに助けを求めました。
そしてようやく気づいたのです。
「私は人の心のケアにばかり一生懸命で、自分自身の心のケアをずっと後回しにしていた」 ということに。
どんなに瞑想を深め、どんなに多くの気づきを得ても、自分で自分を責め、自分の弱さを否定し、自分自身を“ケアする対象”として見ていなかった私の心は、ゆっくりと、しかし確実に内側から壊れていっていたのです。
■ 自分自身とのつながりを取り戻す旅
私は、自分自身との関係をイチから見つめ直すことにしました。
それは地道ながらも自分に根本的な変容をもたらす内なる旅路でした。
「人とどう接するか」以前に「自分が自分にどう接しているか」に意識を向けること。
「誰かを支える前に自分が自分を支えること」を許すこと。
どんなに嫌な自分であってもあるがままの自分を受け入れること。
瞑想や心理セラピーを通して改めて自分自身と向き合った結果、私が深く実感したのは
すべての悩みは、他者との関係の不調和から生まれるのではなく、自分自身との関係の不調和から生まれる
ということでした。
この気づきを得てから、私の支援のかたちは大きく変わりました。
自分を犠牲にして他者に尽くすのではなく、自分を大切にしながら自然体で関わる。
まず自分を整えることで、結果として他者へのまなざしも優しくなる。
そんな関わり方が、自分にとっても相手にとっても心地よいのだと実感するようになったのです。
そして、内側との関係が整い始めると、不思議と現実も変わっていきました。
物質的にも精神的にも豊かさを感じられるようになり、仕事上のアイデアも次々と湧いてくるようになりました。
以前は「なんとかやりきらなきゃ」と力んでいた日々が
今では「どんなサポートが効果的だろうか?」と、自由でクリエイティブな気持ちで
目の前の人と向き合える毎日に変わっています。
そのような循環の中で、私はようやく、本来の自分を生きられるようになったと感じられるようになったのです。
■ セラピストとして、いま伝えたいこと
その後、現場で働く支援職の方々と関わる中で
同じように心の限界を迎えている方が非常に多いことに気づきました。
そんな方々と向き合うたびに
私は「かつての自分」を見るような気持ちになります。
かつての私のように
「頑張らなきゃ」「もっとちゃんとしなきゃ」と
自分を追い込み、知らず知らずのうちに疲弊していく。
自分の心を守るために周囲に壁をつくり、相手を突き放してしまう。
内側では様々な苦悩や葛藤を抱えながらも外では笑顔で過ごし、気づけば依存的な嗜好にはまり込んでいる。
かつての自分と重なるようなそんな姿を見るたびに
「そのつらさはきちんと解決できるし、ひとりで抱え込む必要はないんです」と伝えたくなるのです。
そんな想いから立ち上げたのが、このブログです。
セッションでは、私自身が実際に試し、効果を感じたセルフケアの方法をお伝えしています。
それは、特別な知識や技術が必要なものではなく、
ちょっとした意識の持ち方や、考え方を少し変えるだけで
今いるそのつらい場所から抜け出せる大きな力になるものです。
自分の心と丁寧に向き合うことは、
誰にとっても、いつからでも始められる“癒しの一歩”であり、ゴールでもあります。
こうした多くの経験と、そこからの回復のプロセスを経て、
私が辿り着いた大切な気づきがあります。
それは──
「自分自身を尊重できてこそ、本当の意味で他者を尊重できる」
「自分自身が幸福であってこそ、その幸せを周りの人と分かち合える」ということです。
これは、対人支援に関わるすべての方に伝えたい私の原点です。
■ 対人支援職のあなたへ
支援する人にこそ、適切なケアが必要です。
あなたも、誰かに支えられていい存在です。
あなた自身の心に寄り添う時間を、どうか一番に大切にしてください。
ニューアルケミーでは、瞑想や心理セラピーを土台に、
「自分で自分をケアする力」を高める方法をお伝えしています。
仕事に対する情熱や人とのつながりを、もう一度あなた自身の中から育て直したい方。
一緒に取り組んでみませんか。
自分の心を自分で整えることができれば
仕事への情熱も満たされ、人生はもっと豊かになります。
そして思ってもみなかった可能性にも気づけるようになるはずです。
このブログが、あなた自身をいたわるきっかけになれば幸いです。

奥富浩司
1977年・東京都墨田区生まれ。30歳の時に瞑想と出会い、自己探究の道へ。以降、瞑想センターでガイドをするかたわら、各種瞑想法、心理療法の研究を続け、現在は心理セラピストとして活動。
趣味は瞑想すること、セラピーの研究・開発をすること。これに関連した読書も好きです。Osho、クリシュナムルティ、ニサルガダッタ・マハラジ、ラマナ・マハルシ、バイロン・ケイティ、ジョエル・ゴールドスミス、トニー・パーソンズなど非二元系の書籍をよく読みます。座右の書は「神の慰めの書」(マイスター・エックハルト著)。
これまでの活動履歴
30歳〜 本格的な瞑想修練に打ち込む
35歳〜 瞑想のガイドとして12年間で企業研修を含め延べ1万人以上に瞑想ガイドを行う。
44歳〜 「ストーリーアカデミー」にて広く一般の方向けの講師活動を開始
47歳〜 心理セラピストとして独立
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