セッションで大切にしていること

セッションで私が大切にしているのは、自分の「意志」や「意図」をできるだけ手放すことです。

自分が考える「あるべき目標」や「望ましい結果」に向かって人をコントロールするのではなく、
どんな時もそのとき起きるべきことが自然に起きていることを信頼し、
結果に対する不安定さ、不確定さに心を閉じずに、クライアントの方の中に眠っている答えを
一緒に丁寧に探究していくこと。

そんな姿勢を心がけています。

そうした姿勢でセッションに臨むと、
自分もクライアントの方も想像さえしていなかった角度から発見があったり
突如として苦悩からの解放が起きたりと不思議なことが起きるのです。

心理セラピーにおける様々な知識や理論、原理原則、ノウハウ…
そういったものがあるのは事実ですが、あらゆる知識からいったん離れ、
自分が手ぶらであればあるほど結果としてセッションは上手くいく。

本当に不思議です。

この感覚を表現してくれている本があります。

『スピリチュアル・ヒーリングの本質』(ジョエル・ゴールドスミス著/高木悠鼓 訳/ナチュラルスピリット刊)は、
あらゆる対人支援に共通する普遍的な真理を語っている一冊です。

自分とあらゆる人を助けるのは、あなたの理解でも能力でもありません。
それは神の理解と能力であり、
あなたは自分自身がその通路であることをゆるすだけです。
それはちょうど、作曲家が自分を通じてメロディが流れるようにするのと同じです。
作曲家は音楽の創造者でしょうか?
詩人は詩の創造者でしょうか?
いいえ、違います。
あらゆる創造的芸術家は通路で、その人を通じて神の創造能力が表現するのです。
その人は神の手の道具、絵筆、のみ、金槌です。
通路であることが、詩人、画家、彫刻家のすべてです。それが私とあなたのすべてです。

「スピリチュアル・ヒーリングの本質」より

自分は、水源から流れる水を通す水道管であり、
神の通路としてセラピーを実践すること。
※もし神という言葉があまりに宗教的なら、代わりの名前は
自然治癒力でも自己回復力でも何でもOKだと思います

そうした姿勢の大切さを日々実感しています。

ちなみに私がこうした在り方に初めて触れたのは、20歳の頃のことでした。
当時の私は、無理な筋力トレーニングと習っていた格闘技のケガがもとで重度の腰痛になり
一時期は寝たきりに近い状態にまでなりました。

整形外科、整体、指圧、鍼治療、カイロプラクティック、気功…
なかなか回復の見込みが見えず、心はうつ状態で様々な治療を行脚しましたが、
その時に出会った、結果的に私を腰痛から立ち直らせてくれたある治療家の先生の言葉が印象に残りました。

それは
「自分の思いがあればあるほど治療は上手くいかなくなる」
というものでした。


「医師や治療家には“自分が絶対に治すんだ!”という強い意志がなければいけない」
と思い込んでいた当時の私は、その言葉が本当に意外で、ショックに近い感覚を受けました。

「自分の思いがあったらいけない? じゃあ一体何が患者を治すんだ?」
そう思ったのです。

しかし私が瞑想ガイドになった時に、
その治療家の先生の言葉は事実だったと幾度となく痛感することになりました。
自分が相手をどうにかしようとすればするほど効果は生まれず、
むしろトラブルばかりが増えたのです。

「人をコントロールしよう」とする思いが強いときほど、セッションはうまくいかない。
むしろ、そうした思いを手放した時、自然と起きるべきことが起きてくる。

そんな光景を数多く目撃しました。

もちろんその理解は完璧に出来上がっているものではなく、いまも深め続けているものです。
だからこそ、クライアントの方と共に「今ここ」に生まれる真実に驚き、
感動できているのだとも思います。

目次